第3話 写真家――そして私は、記憶するだけだ。 14区裏路地の3階建てのビルにある探偵事務所。 この小さな事務所を、皆どうして訪ねてくるのか不思議でならない。 「亡霊に取りつかれた裏路地があるという噂が流れてるんです。そこを通ると、皆消えてしまうって」...
第2話 自己矛盾――モーゼス、エズラ 「馬鹿……」 私は小さく、震える声で言った。エズラがまたやらかした。ねじれの対象者には敏感な質問をするなと何度も言ったのに。エズラは小声で言った。 「あわわ…探偵さん探偵さん…どうしましょう…?」 「ははは、すみません。うちの子どもはまだ世間知らずでし...
第1話 ねじれが見える。――1.原因、2.説明、3.理解、4.認定 私にはねじれが見える。 ねじれは誰にでも存在する。"ねじれ"という名称を誰がつけたのかはわからないが、いつの間にか人々からそう呼ばれていた。どんな原理かもわからない。これまでの経験から、この現象は人々の強い感情とその爆発の発現と推...